運動療法チーム
運動療法チーム
透析患者の運動耐容能について
透析患者の運動耐容能は健常者の約半分と言われています。また一般的に運動耐容能とQOLや生命予後が密接に関係していることが知られており、透析患者のQOLや生命予後を改善するためには運動療法を積極的に行う必要があると考えられます。
透析患者におけるサルコペニア
サルコペニアとは一般的に加齢や老化により筋肉量が減少する病態を指しますが、透析患者はその他にも低栄養・炎症性サイトカインや酸化ストレスによる慢性炎症・代謝性アシドーシスなどにより筋肉量が減少します。
運動および筋肉量と生命予後について
日本透析医学会統計調査では筋肉量(%CGR)の減少は生命予後を悪化させる因子であると報告されています。また最近では定期的な運動習慣がある患者と無い患者では生命予後が大きく異なることが多数報告されています。
透析患者の運動耐容能低下は心肺機能の低下より筋肉量減少により起こることが知られています。筋肉量を増やすためには散歩などの有酸素運動だけでなく、筋トレなどのレジスタンス運動を組み合わせることが必要です。
当院で行っている透析中の運動「つばさミュージックエクササイズ(TMX)」
運動療法の必要性を理解できても、実際に定期的な運動習慣を持つことは簡単ではありません。また安全で効果的な運動を行うためには、適切な運動強度の設定が必要になります。当院ではその様な問題を解決するために「透析室をフィットネスクラブにする!」をスローガンに、透析中に音楽に合わせて無理なく楽しく出来る「つばさミュージックエクササイズ(TMX」を作製しました。
TMXの特徴
TMXは有酸素運動とレジスタンス運動をバランスよく組み合わせた約20分の運動です。DVDによる音楽と映像に合わせ、自然に身体が動くようになっています。比較的循環動態が安定する透析開始1時間後より透析室全体で行います。運動強度は個人個人で設定可能で、体力や年齢に関わらず楽しく続けることが出来ます。運動中は透析室のスタッフ全員で患者さんを見守り励まします。
TMXの効果
一番の効果は患者さんの運動に対する意識が変わった事です。運動に対して消極的だった患者さんもTMXで自信がつき、日常の活動や外出などに積極的になったという声が多数聴かれています。
TMXを導入してから透析中の下肢つりが激減しました。また便秘症状が改善した患者さんも大勢います。BIA法による筋肉量評価では有意な筋肉量増加が確認されています。歩行速度や座り立ちテストなどの体力テストでも有意な改善が確認されています。
「透析中の運動療法」による効果
1年間の透析中の運動療法により、骨格筋量(主に下肢筋肉量)が有意に増加し、特に75歳以上の患者で著明でした。またエリスロポエチン製剤の使用量も減量傾向です。運動による下肢筋肉量の増加や関節可動域の拡大により、転倒防止効果などが期待されます。
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